平成17年9月16日
公明・21世紀クラブ 庄子賢一
質問に先立ちまして、去る8月16日に発生した宮城県沖を震源とする地震によって被災された皆様、並びに台風14号で犠牲となられた方々に対し、忠心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。過去の災害を大きな教訓として、被害を最小限にとどめるべく対策を講じていた矢先の出来事に、残念な気持ちでなりません。今後一層の災害対策をすすめ、生命と財産、そして市民生活を守りゆくことが、私達の責務と決意をするものであります。
大綱1点目にお伺いするのはその災害対策についてであります。
8月16日に発生した宮城県沖を震源とする地震は、マグニチュード7.2、最大震度6弱。そして広範囲に渡って、震度5強から5弱の大きな揺れを観測するというものでしたが、一部損壊の住宅が240棟あったものの、幸いにして死者・行方不明者が出なかったことは、全く不幸中の幸いという以外にありません。 一方で、地震調査委員会が発表したところによると、今回の地震はいわゆる「宮城県沖地震」の想定震源域の一部が破壊したものの、地震の規模が小さいことや、余震分布や地震波から推定された破壊領域が、想定震源域全体に及んでいないことから、想定されていた宮城県沖地震ではないとの事であります。むしろ今回の地震が、さらに大規模な地震の呼び水となって、発生時期を早めるのではないかとの指摘すらあるわけであります。
こうしたことから、本県の地震対策には、より一層の迅速さが求められるのであり、行政・企業、団体・研究機関、そして市民が一体となって、災害への身構えを整えなくてはならないのであります。
平成16年3月に成立した、いわゆる「周辺海溝型地震に係る特別措置法」が、9月1日から施行され、房総半島の東方沖から三陸海岸の東方沖を経て、択捉(エトロフ)島の東方沖までの、日本海溝及び千島海溝ならびに周辺地域を対象としての、地震防災対策の推進が図られることになった事は、非常に喜ばしいニュースであります。年内には推進地域の指定がなされ、本県も一部の市町村を除いて指定を受けることになると思われます。
そこでお伺い致しますが、推進地域指定によって、国は観測及び測量の為の施設等の整備に務める事になる訳ですが、考えられる具体的な整備の内容をお示し下さい。またそれに伴って、推進地域内で津波の浸水が予想されるエリアにおいて、病院、劇場、百貨店、旅館、鉄道事業を行う事業者に対し、対策計画の策定を求める訳ですが、それに伴う財政上の措置はどのようになるのかお示し下さい。
この8月の地震では地震発生の4分後に津波注意報が発令されました。津波の高さは最大でも約40pと、被害につながるものでは有りませんでしたが、いくつかの問題点も指摘されております。まず石巻市鮎川では、津波の到達時刻が12時10分と予測されていたにもかかわらず、実際に到達したのはそれより6分も早い12時4分であったこと。そして志津川においては警報を解除した13時15分に、最大の40pの津波が到達していたことであります。このような予測の不正確さは、いざという時に人命を損なう恐れのある大きな問題であると思いますが、県としてこの結果をどう認識しておられるのでしょうか。
また仙台管区気象台との間でどの様な総括をされているのか伺います。
私は3月、昨年末に発生したスマトラ沖地震津波の被災国であるスリランカを訪問し、津波で被害を受けた地域を回りました。発生直後の住民の避難状況はどうだったのか、守られた命と失われた命の間では、どのような行動の違いがあったのか。津波に対し比較的強い地形と脆い地形の差は何なのか、波によって全てを流されてしまった住民達は、生活を続ける為にどんな問題に向き合っているのか。そして一瞬にして4万人もの犠牲者を出してしまった最大の要因は何なのかを、首都コロンボから250q離れたハンバントータまで、車で三日かけて移動しながら視察をして参りました。打ち上げられた漁船はそのまま放置され、海岸線のホテルやお店は、まるで空襲にでも遭ったかのような姿で、土台と鉄骨がむき出しになり、高さ20メートルはある鉄塔がグニャグニャになって倒れ、8両編成の列車はスクラップになったかのように破壊されていました。津波によって出来た沼には未だに発見されない人々が、バスや車に乗ったまま眠っているそうであります。親を失った子供と子や孫を失った人々の悲しみは深く、復興にはこれから多くの時間が必要ですが、一日も早く以前の活気を取り戻して欲しいと祈っております。
帰国してすぐに浅野知事に対して、視察を踏まえた津波対策の申し入れを行いました。その際ご提案した中に、河口付近の橋梁の強度を点検し、必要があれば補強・改修を行うべきと申し上げたことについては、被災者の搬送や救援物資の輸送など、陸路を確保する事が、初動段階で特に大事であるとの観点から提案致しましたが、今後の県としての取り組みの姿勢をお聞かせ頂きたいと思います。また住民への情報伝達手段として、同放無線の戸別受信機を整備すべきであることも提案致しましたが、それに対する当局のご見解をお聞かせ下さい。
さらに、仮設住宅の設置に関して、スリランカでは被災者個人の土地や親戚の家の敷地内など、建設場所には柔軟な対応をしており、住民の繋がりやコミュニティが断ち切られないよう、生活再建がよりスムーズに進むように配慮されていました。本県でも多数の被災者が出た場合、こうした点を考慮すべきであり、必要であれば規定や関連法の見直しを国に求めるべき事も提案致しましたが、知事はどのような認識をお持ちか伺います。
スリランカは過去に大きな地震や津波被害の経験が無く、災害への正しい知識を持ち合わせていなかったことが、被害を拡大させた原因だと思います。本県においては明治三陸地震やチリ地震津波など、津波被害の経験があるとはいえ、記憶は薄れ形骸化の傾向もあります。私は早い時期に正しい知識を習得し自分の身は自分で守り、そして周りの人を守れるような、災害教育、減災教育こそが、防災意識の形骸化を防ぎ、自助意識の底辺を拡大する観点で、必要なものと考えます。例えば稲村の火などの逸話を通して学校において小・中・高校生に、津波についてわかりやすく教えていってはどうかと思いますが、教育長の御所見をお聞かせ下さい。
8月の地震では、新たに一つのことが問題として浮かび上がって参りました、それは仙台市のPFI事業として注目されていた室内プールの天井が落下し、多くの利用者の方が重軽傷を負われた事故で、本来設置されるべきであった振れ止めが付けられていなかったという問題であります。私も事故直後現場に向かい見て参りましたが、従業員の方が素早く利用者を避難誘導したり、とっさにプールへ飛び込んで難を逃れたりと、機転を利かせた対応を取っていなければ、大惨事となっても不思議でない、ぞっとするような崩落の現場でした。この振れ止めの有無と被害の因果関係については、今後さらに詳しい調査があって、明らかになってくると思われますが、今回の屋内プールの様に、柱のない大空間をもった施設は他にも沢山ございます。現段階の調査で県内の大規模施設に関して、振れ止めの設置状況がどうなっているのかをお示し下さい。特に小・中学校の体育館は、災害時には避難所にもなるわけで、安全管理を徹底させる必要があると思いますが、県はどのような対策をとられるのか伺います。
この項目の最後に、被災住宅の再建を支援する共済制度について伺います。兵庫県では全国に先駆けて、自然災害で全壊、半壊した個人住宅の再建支援を、住宅所有者の掛け金によって支援する「兵庫県住宅再建共済制度」として条例化し、今年の8月から申し込みの受付を開始致しております。先日我が会派において視察・調査を行ってきたところですが、共済負担金は年額5,000円で、地震はもちろんすべての自然災害を対象とし、賃貸物件やセカンドハウスなどを含む、全ての私有住宅が当てはまります。そして例えば私が兵庫県内に住宅を所有しているとして、共済に加入さえすればそれも対象となるという、非常に間口の広い制度でもあります。また給付金も全壊、半壊で住宅を再建または購入した場合600万円。そして補修についても全壊で200万円。大規模半壊では100万円。半壊で50万円と、住宅本体への資金援助を目的とした、極めて有効な再建支援の制度となっております。
私は、こうした相互扶助の支援制度は、大規模地震の発生確率が高まりつつある本県にこそ必要な仕組みであり、庁内に検討会を設置して出来るだけ早い時期に、導入すべきとご提案致しますが、知事はどのようにお考えでしょうか伺います。
ちなみに兵庫県の条例の第1条には、「自然災害の被災者が自立した生活を再建する為には、生活基盤となる住宅の再建等が最も重要であり、その為の自助努力や公的支援には限界があることにかんがみ、住宅の所有者が助け合いの精神に基づき拠出する負担金により、住宅の再建等を支援する相互扶助の仕組みとして、共済制度を設け、もって被災者の生活基盤の回復を促し、被災地域の早期再生を図ることを目的とする」とあります。こうした理念を我が県にも取り入れるべく、知事の積極的なご見解を期待致します。
共済制度の必要性を申し上げる理由として、遅々として進まない木造住宅耐震化の現状があります。特に今後5年から10年の間に、昭和56年に建築基準法が新しくなる以前の家屋は勿論、それ以降に建てられた木造住宅も築30年を超えます。
このままのペースで耐震化を進めていたのでは、大規模災害が発生した際の住宅被害は、想定を超える大きなものとなりかねません。そしてさらに、急速な高齢化社会の進行によって、住んでいる方の高齢化と住宅の老朽化という、二つの要素を同時に克服していく事が、今後の耐震化施策に求められると思いますが、知事はこの高齢化と老朽化という問題を踏まえ、どのようにして住宅の耐震化を普及促進すべきとお考えでしょうか、伺います。
いつも住宅の再建支援を論ずる際に、必ずと言っていい程問題とされるのが、「住宅の再建支援には公共性があると考えるのか、その逆に私有財産への公費投入は不適当と考えるのか」という観点です。私は生活再建のために住宅こそは、衣・食・住と言われるように、人間が人間らしく生きていくための必要最低要件だと考えます。したがって一定の限度があるにせよ、住宅本体への支援策を国の方針として位置づける時期に来ている、と考えますが、この点についても知事の御所見を伺います。
次に大綱2点目、宮城陸上競技場・旧サブトラック問題について伺います。
この問題は昨年6月9日に、県と仙台市の政策課題協議会の場において、協議していく事で合意が為されてから、1年以上に渡って迷走し、結局楽天球団の練習場を現在のテニスコートへ建設し、テニスコートを旧サブトラックに移設することで決着が図られるやに伺っております。この間の県と仙台市のやり取りは新聞報道の見出しを拾ってみるだけでも、難色、対立、困惑、不信感等々の言葉が並び、合意形成するどころかむしろ溝が深まったではと、思わざるを得ないものでありました。昨年の本会議における答弁で浅野知事が、「宮城野原総合運動場の検討は、まず県と仙台市が一緒になって、胸襟を開いてお互いの考えを明らかにし、整理を進めなければ解決出来ないと思っている」と述べられたのとは、全く逆の方向へ向かっているのではないでしょうか。
県民・市民の共通財産として長きに渡って親しまれている陸上競技場と、旧サブトラックを巡って、県と仙台市が腹を探り合って駆け引きに終始するようでは、翻弄され置き去りにされるのは県民・市民であり、とりわけ競技場を利用しスポーツに打ち込み、競技力向上に励む競技者や児童・生徒ではないでしょうか。今後改めて、宮城野原公園総合運動場の将来構想に関し、県・市間協議を活性化させ、英知を集めたベストな構想を取りまとめるべく協議をスタートすべきと思いますが如何でしょうか。
8月30日には県と楽天球団サイドで、「宮城球場室内練習場建設等に関する基本協定書」が締結されました。私は地元に誕生した球団が着実に強くなり、地域のファンに夢と希望を与えてくれるような存在になって欲しいと熱望するものであり、球場に隣接した室内練習場の必要性も容易に理解が出来ます。
県民の皆さんの多くが同じように楽天の飛躍に期待されているものと思います。しかしテニスコートが移設されることによって影響を受け、練習、競技、大会の運営に支障をきたすことになる事実を、全く無視することも出来ません。ましてや締結される2週間ほど前に、仙台市PTA協議会や仙台市中学校校長会、小学校校長会から、旧サブトラックを現状のまま残す事を強く望む要望書が、白石教育長あてに出されていた矢先。
今回の締結や、本義会への移設費の予算案提出というのは、随分荒っぽい感じが否めません。要望書が出された後、教育長はどのような説明をなされ、そして各団体の理解を得られているのかを伺います。
さらに、過日宮城陸上競技協会と仙台市陸上競技協会は、浅野知事に対して、「宮城野原公園総合運動場内・陸上競技場の存続に関する陳情書」を、13,925名の署名と共に提出しております。陳情の理由としては、各種スポーツ活動の拠点として、大きな役割を担ってきた歴史と伝統ある競技場であること。また年間15万人の利用者数から分かる通り、交通アクセス等利用者にとっても極めて利便性の高い施設であること。そして仙台市内唯一の全天候舗装の公認競技場であり、多数の中・校生が練習に利用し大きな成果を挙げていることが記されております。県はこうした1万3千人を越す市民の声に、どのように対応するおつもりかお伺いし、壇上からの質問を終わります。
これ以降の質疑は対面席に移り、答弁に対する再質問として一問一答方式で行いました。