平成18年6月27日
公明・21世紀クラブ 庄子賢一
大綱5点につきましてご質問をさせて頂きます。
はじめに1点目は災害対策についてであります。
公明党宮城県本部では今年の2月から3月にかけて、宮城県沖地震と津波に関するアンケート調査を実施致しました。対象地域は、石巻市をはじめとする2市1町の三陸沿岸地域と、県南の4市9町であります。2地域合わせて4,000名近い方から得た、17の設問に対する回答をもとに、災害への備えや課題などについて分析を行いました。また同じ質問に対する答えの違いから、防災意識の地域間格差についても着目していこうという試みでもあります。このアンケートの中で幾つか浮かび上がった点がありますので、そうした点をもとにお伺い致します。
まず地震災害から人的被害を軽減する為には、何と言っても一般木造住宅の耐震化推進が課題となって参ります。それは阪神大震災で倒壊した住宅による圧迫死や、火災による死傷者が甚大な数に上ったことを見ると明確なように、住宅がせめて倒壊しない程度に強度を保つことができれば、大切な生命を守ることが出来たと思われるからであります。
本県では昭和56年以前の、耐震改修が必要と考えられる住宅は20万戸近くあり、中長期的な展望を持って、しかも出来る限りスピーディーに、耐震化を押し進める必要があると考えます。このアンケートでは、震度6程度の地震が起こったとして、あなたの家はどの程度の被害が出ると思いますかと聞いておりますが、2つの地域とも「被害がないと思う」と答えたのは僅か2%で、それ以外は「家がつぶれたり壁に亀裂が入る」などと回答しています。
そして問題なのは住宅に対する不安感が強い割りには、耐震診断を行っている家庭は県南地域で6%、石巻地域で11%に止まっており、決して進んでいるとは言えない実態にある点です。そこで診断を受けない理由を尋ねると、「費用がない」あるいは「診断の結果改修が必要と言われても費用がない」と言う答が全体の3割にも上りました。
本県における一般木造住宅の耐震改修の助成事業は、平成16年度87件・2,466万円、17年度485件・1億3千7百万円と着実な伸びを示し、これから本格的に全県下に普及していくものと期待をしておりました。ところがこの助成事業が緊急経済産業再生戦略プランとして、16,17年度の実質わずか2箇年で終了したことを理由に、今年度から大幅に対象を絞り込んだ事業になってしまいました。
すなわち「市街地内の避難路などに面し、倒壊により道路をふさぐ恐れのある場合」に限られ、計画では今年度30戸・240万円という極めて縮小した事業に姿を変えてしまったのであります。個人の住宅はあくまでも個人資産であるから、改修工事は全て自己負担で賄われるのがが当然であるという、いわば自助による取り組みを県民に求める姿勢をとっているのであります。
しかし先のアンケート結果でもお示しした通り、自助努力のみでは老朽化し危険性がある家を、大規模地震から守れるまでに改修するには、費用負担感が高すぎて、危ないとは分かっていても何もしない・出来ないという現状にあることは明らかであります。県民の自助努力を上手に引き出すには、公助の手助けと動機づけが必要だと思います。再生戦略のような雇用の改善や景気回復策としての事業ではなく、本来の目的である県民の生命と財産を護ることに立ち返り、耐震改修事業を行政と県民の共同作業として実施して頂きたい。
助成の対象を全ての危険住宅に改め、17年度並みの助成金額を確保すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
津波対策についてお伺い致します。
先のアンケート調査で地震発生による、津波からの避難を「いつ始めるか」を聞いたところ、「直ちに避難する」と答えたのは2地域とも30数%で、「警報が出てから」や「呼びかけがあったら」、あるいは「近所の人が避難したら」など、何らかの合図によって避難行動を開始する人が6割に上ることが分かりました。
このことから言えることは、大きな揺れを感じたら沿岸地域にいる方は速やかに高台などに避難を始めるよう、より県民意識を高める必要が有るという事と、避難指示や勧告を、的確かつ正確に伝えるという両方が必要と言うことだと思います。
今年度三陸沖合にGPSによる津波観測装置が設置されることとなっており、迅速な情報の伝達に大きく寄与することが期待されておりますが、設置後の運用やGPSでの計測データをどのようにしてどの機関が住民に伝えるのかが、今ひとつ不明確ではないでしょうか。
せっかくGPSが設置されるわけですので、県内全ての沿岸地域住民に対して、迅速かつ正確に情報伝達できるよう国・県・市町村の役割分担を早急に構築すべきと思いますがいかがでしょうか。
大綱2点目医療と介護に関してお伺い致します。
始めにがん対策について伺います。
日本人の死亡原因の第1位で年間約30万人の命を奪う「がん」の対策強化は、国・地方が総力を挙げて取り組むべき緊急課題です。今年2月には厚生労働省から知事宛に、「質の高いがん医療を受けることが出来る体制を確立する」という観点から、速やかに地域がん診療拠点病院の充実強化が行われるよう、特段の配慮をお願いする旨の通知が出されており、ガン医療の均てん化と地域間格差の解消を目指して、国も本格的に動き始めたようであります。
そこへ先の国会において「がん対策基本法」が成立し、来年4月1日から施行されることになったことは、がん難民とまで言われている我が国の患者・家族はもちろん、多くの国民にとっても明るい光明が差したと言えるのではないでしょうか。がん対策の重要性は今更申し上げるまでもありませんが、東大医学部の中川恵一先生の言葉を通し改めてその必要性の高いことをご紹介致します。
「罹患率や死亡率が急激に上昇しており、日本のがん患者は現在300万人に達し、毎年新たに約52万人ががんになっています。さらに2015年には全体で533万人にまで増加し、新たに約80万人ががんにかかると予想され、3人に2人の割合でがんにかかり、2人に1人近くががんで亡くなる計算です」と述べております。
こうした実情を踏まえ本県のがん対策について何点か伺います。
1つ目は二次医療圏におけるがん診療拠点病院の整備についてであります。この点は昨年11月定例会でも質問を致しておりますが、その際の知事のご答弁は「国の指針見直しに沿って対応していきたい」というものでした。現在県内で5つの病院が指定を受けておりますが、今年度以降の整備についてどのように考えておられるか、改めてお示し下さい。
中でも仙台医療圏には人口が集中しており、現在の体制では十分な対応ができないことは明確であります。仙台医療圏の拠点病院を現状の1からせめてもう1病院増やすべきだと思いますが御所見を伺います。
2つ目はマンパワーの育成と確保についてです。がんの治療方法には主に手術治療、放射線治療、化学療法の三つがあります。
中でもこれまでは胃ガンなどが多かった為、手術治療が主流だったわけですが、近年乳ガンや前立腺がんなどが増加してきていることもあって、放射線治療の方が有効的なケースが多くなる傾向です。
しかしながら放射線治療の専門医は全国で約500人、本県では7・80人しかいない現状で、治療の主役が外科的治療から放射線治療へと移行する中で、現在の専門医マンパワーでは対応出来ないことは明確であります。
今後県として放射線治療専門医を、どれくらいの期間でどこまで育成・強化していくお考えをお持ちかお聞かせ下さい。
3つ目は緩和ケアの問題です。痛みをコントロールする緩和ケアは人間の尊厳に関わる大切なテーマです。
現在県内に緩和ケア病棟のある医療機関は3病院しかありませんが、患者の増加を考えると極めて不足していると言わざるを得ません。地域拠点病院の整備に合わせて、緩和ケア病棟や緩和ケア外来の整備を進めるべきと思いますが、知事のお考えを伺います。
いづれにしても県民の不安を解消し、誰もが平等に安心して相談でき、的確な治療が受けられる「がん予防・治療先進県みやぎ」をつくるため、村井知事のリーダーシップを強く期待するものであります。
次に介護保険に関する諸課題について何点か伺います。
昨年10月から介護保健施設などの利用料の見直しがなされ、「居住費」や「食費」は保険給付の対象外となりました。これによって利用者個人の負担額が増加し、退所を余儀なくされたり入所を断念せざるを得ない方が増えております。
県では利用者負担の増加に伴う影響について、特養101施設と老健71施設に対し、自己負担増を理由とした退所者の実態を、利用者負担段階ごとに調査を行い、先月結果を明らかにしておりますが、それによると昨年10月1日から今年の2月末までに特養を退所した149人中、自己負担増によるとしたのは4人で2.7%。老健では2,348人中148人で6.3%となっております。知事はまずこの数字に対してどのような感想をお持ちでしょうか、そしてどう評価されているでしょうかお伺い致します。
私は第1段階から第3段階の、低所得者対策が非常に重要だと思います。特に特養には社会福祉法人への減免措置があり、利用者負担は4分の1軽減されるのに対し、医療法人系が運営する老健ではそうした措置はありません。先の調査で退所者の数が特養に比べ老健が断然多くなっているのも、こうした実情を反映してのことと思います。
特養の待機者が膨れあがり容易に入居できない分、老健への依存が高いわけですが、こうした制度上の違いに対して、県はいかに救済策を講じるのか、あるいわ国に対して改善を求めていくのか御所見をお聞き致します。
また新たに創設された介護予防についてお伺いします。
予防給付では地域包括支援センターにおいて、主に保健師さんが予防給付のケアマネジメントを行いますが、その業務の一部を居宅介護支援事業者に委託することができる仕組みになっています。
当然限られた保健師さんだけでケアプランを作成することは困難ですので、外部委託はやむを得ない訳ですが、その際委託されたケアマネの報酬は2千円程度、しかも一人8件までとされております。これでは介護予防事業に対して積極的に取り組むケアマネが育たず、介護予防事業自体に支障をきたすのではないかと懸念致しますが、知事のご認識と改善策があればお示し下さい。
また介護予防という新しいサービスを有効に運用し、真に予防効果を示していけるように、ケアマネはもちろん保険師、社会福祉士等を対象とした介護予防の具体的な研修事業を実施すべきと思いますが如何でしょうか、御所見をお伺い致します。
次に乳幼児医療費に関してお伺い致します。
何度か議会の場で質問して参りましたが、育児世代にとって子供の医療費は家計に大きな負担を強いるもので、その負担感を少しでも軽減することは、少子社会を迎えた我が国にとって重要な施策であることは論を待ちません
。
本県では現在、入院・通院とも3歳未満児までが無料、入院の方はさらに6歳未満児まで無料となっており、子育て世代の皆さんからは大変喜ばれております。
ところがこの度の財政再建プログラムにおいて、この助成制度の縮小・一部有料化が検討されていると聞いております。国においてさえ乳幼児医療費の自己負担割合について、2割負担の対象年齢を3歳未満児から未就学児まで拡大する事が示されている中で、喫緊の重要課題である少子対策の流れに逆行するような県の考えには反対であります。
村井知事の賢明なる判断をお願いするものですが如何でしょうか、ご認識を伺います。
次に大綱3点目食育について伺います。
食べることは呼吸することと同じく命そのものに直結しています。ゆえに食への正しい知識「食育」が大事であります。そしてまた食の安心・安全について今ほど関心が高まっている時はありません。
食に関わる問題を「食べる」という個人の行為として考えず、社会全体の問題として捉えることが、豊で健康的な地域づくりの出発点ではないでしょうか。国においては昨年6月に食育基本法が成立し、その後「食育推進基本計画」が策定され、2010年までの具体的な数値目標も示されたところであります。こうした流れを踏まえ何点かお聞き致します。
食育を考える時真っ先に取り組まなければならないのは、子ども達を取り巻く食生活の改善だと思います。少し前の新聞報道で、本県の児童・生徒の体格と体力のバランスが著しく偏っているという指摘がありましたが、平成17年度「身体計測の県と全国平均の比較」によると、女子の場合中3生の身長が全国20位なのに体重は1位。高3生では身長が35位なのに体重は4位。男子も高1で身長が31位なのに体重は3位と、実際、全体的に宮城の子ども達は肥満傾向であることが分かります。
また体力の面では握力などは全国平均を上回っているものの、20メートルシャトルラン、持久走、50メートル走、立ち幅跳びなどの運動能力では、小学校1年から高校3年までの12年間、男女とも全国平均を大きく下回っている現状で、健康的に成長しているとは言い難い実態です。
私は子ども達のこうした状況は彼らを取り巻く食の環境と密接に関係していると思いますが、この点教育長はどのような認識をお持ちでしょうかお伺い致します。
仮に本県の子ども達の身体的な傾向が生活習慣から来る結果だとしたら、文科省や県教委が提唱している「はやね・はやおき・朝ご飯」運動などは、的を得た取り組みであると思います。しかも複数の調査に依れば基本的な生活習慣が身に付いている児童・生徒ほど、ペーパーテストの得点が高いという結果が出ており、学力の向上と生活習慣が深くつながっている事が明らかにもなっております。
残念ながら本県児童・生徒の「学習状況調査結果」や、進学率・就職決定率は全国水準より大きく低迷しており、先にご紹介した子ども達の体格と体力のアンバランスなどを見ても、本県の児童・生徒の生活習慣の乱れと学力の低迷は、決して別の問題ではないと考えられます。
食育を通じた学力向上への取り組みについて、御所見を賜りたいと思います。
また学校給食を中心とした食育の推進は栄養教諭に負うところが大きいと考えます。栄養教諭制度ができた効果は「食育」を「教育」として、子ども達に表だって指導できるようになった事と、保護者への食育として学校給食の試食会などを開催し、学校給食を生きた教材として食育に取り組むなど、やり方によっては地域を巻きこむ事も可能な点であろうと思います。
昨年度から始まったこの栄養教諭制度は、現在全国で307人が採用され、各教育現場で指導に当たっています。愛媛県などは今年度16人を採用したようですが、本県では現在わずか3人であり、今年度の採用予定も3人程度と伺っております。私は今すぐ県内全ての小学校にとまでは言いませんが、まずは中学校区に1人の栄養教諭を採用し、学校現場での食育指導を本格的にスタートすべきと思いますが如何でしょうか。
ご所見を伺います。
大綱4点目は警察医制度についてであります。
警察医は医師会が推薦し県警が委嘱をする一般の開業医などで構成され、現在24の警察署で28人の方が従事されております。その業務は昼夜時間を問わず、警察から連絡があれば自分の仕事を後回しにしても現場へ駆けつけ、検案を行い死因を特定するというものであります。
死亡した状況によっては感染などのリスクもあり、極めて大変な仕事として認識しております。ところで先日ご自宅でお母さんを亡くされ、警察医にお世話になった家族の方から相談を受けました。心筋梗塞と診断されたお母さんの検案料として21万円を請求されたという事でした。
もとより病院などで亡くなった場合と違い、往診で行われることや時間外の出動であることなどから、一般の死亡診断書とは同列でないことは承知しておりますが、それにしても犯罪性のない心筋梗塞の死亡診断に21万円とは、理解に苦しみます。監察医制度が大都市部だけでなく、全国に設置されていればこうしたこともないわけですが、現状では検案を行った警察医の自主的判断で、死亡検案書の手数料は決められているのが実状であります。
このように亡くなられた場所や時間によって、自然死の場合とそうでない場合との診断料に大きな違いがある事について、村井知事はどのようなご認識をお持ちかまず率直なご感想を伺います。
また一方高齢化が進展することによる孤独死や不自然死などが増えていくことは明らかですが、そうした際、現状の28人体制ではますます警察医への負担が重くなり、業務に支障をきたす恐れもあるのではないかと案じますが、今後体制の強化をされるおつもりはないか警察本部長に伺います。
また、司法解剖につきましては、本県の場合全国的にも取扱件数は全国上位であり、今後も維持して下さることを願いますが、解剖には至らない検案業務を行う警察医に対して、技術・能力の向上や法医学の研修を行い、レベルアップを図ることが大切だと思います。
正確な死因を決定することは、その人が生きてきた生涯に敬意を表し大切に扱うことであり、人間の尊厳にも関わる非常に重要な問題です。さらには公衆衛生面の施策の充実や、次世代への医療・健康に関する基本的資料の根拠にもつながるなど、より精度の高い技術で行われるべきだと考えます。
警察医の資質向上のための今後の取り組みについて、警察本部長の御所見を伺います。
最後に大綱5点目インターネットと選挙活動について伺います。
進化するインターネット社会によって、政党や我々議員は情報発信力を問われる時代を迎えました。日本で約8000万人と言われるネット利用者を考えれば、今後ますます政治の中心的な伝達手段はインターネットへと移っていくことは間違い有りません。
多くの識者が「コストがかからず、スピードがあり、しかも双方向性に優れたネットを活用しない政党・政治家は生き残れない」
とまで指摘するほどであります。
アメリカでは政治情報をブログで得ている国民が約4000万人いるそうで、市会議員、州議会議員は「献金はネットでお願いします」とホームページに掲載するほどです。また専業主婦の少ないアメリカでは、働く女性の票が政治に大きな影響力を持っていますが、彼女たちはパソコンに習熟したネット市民でもあります。
日本ではそこまで行かないまでも、政治家の日常活動や成果、選挙時の公約などについての基本情報は、ネットのサーチエンジンでキーワード検索すれば、瞬時に得られるようになりました。
そして選挙後の活動・実績についても、有権者が日常的にモニターする時代になったと思います。今後我々議員は、ネットが他の媒体と異なり、発信者と受信者の双方向のコミニュケーションに優れている利点を大いに生かし、情報社会にスピーディーに対応すべき事は必須と考えます。
ところで近年になって、ネットによる選挙運動を解禁すべきである、との主張が高まっているようで、選挙制度改革の今後の焦点にもなると言われております。
現在の公職選挙法では「選挙運動のための文書図画の頒布」を禁じた条項があり、インターネットもその規制対象になっています。そのため選挙の公示・告示後に候補者や政党の主張をのせたホームページを更新することが出来ません。
また電子メールを選挙活動目的に送信することも禁じられ、ブログでの選挙活動の公表も出来ません。しかし先に述べたように、これだけインターネット利用者が増加した日本社会で、ネットによる選挙活動が強く規制される状況は改善すべきと考えます。
ネット選挙の解禁は若年層の政治関心の向上や在外有権者への情報提供にもなり、選挙コストの削減にもつながる可能性があると思います。また情報化社会において政党・政治家を選ぶ上で重要なツールになるとも思います。
電子メールの利用解禁はトラブルになる恐れも高いため、現状は変えないとしても、政党や政治家個人のホームページを公示・告示後に開設、更新する事を容認すべきと思いますが、この点政治家としての村井知事の見解とご認識をお伺いすると共に、国や関係機関へ働きかけて頂くことをお願いし、私の一般質問を終わります。
ご静聴有り難うございました。