議会報告
 
 

予算特別委員会・総括質疑

平成16年3月5日

〇庄子賢一委員 
大綱三点にわたってお聞きをさせていただきます。
まず、先ごろ知事が発表されました知的障害者施設の解体宣言についてであります。
この宣言は、もう既に本会議の中でも議論になっておりましたが、去る二月の二十一日、知事が発表された宣言でありまして、その宣言文を私も何回か目を通して読ませていただきましたが、これまで施設に入っておられた方々を地域に移行すると。その地域移行の支援の条件整備、環境整備をするということが目的であって、解体するということが目的ではないんだという趣旨の宣言でありました。この趣旨に私も基本的に賛成ですし、ノーマライゼーションの理念からいって、今後そういった流れになるということは、これはもう論を待たないということだろうというふうに思います。
 あの宣言以降、数カ所、知的障害者施設をお邪魔をしまして、施設関係者の方々や家族の皆さん、いろんな意見交換をさせていただきました。知事は、強いインパクトを与えると。あいまいな表現ではなくて、むしろインパクトをきちっと与えるということで、宣言ということをあえてされたと伺っておりますが、同じように関係者の皆さんにも大きなインパクトを与えておりまして、それはやはり解体宣言というエキセントリックなタイトルで、解体イコール即、施設を追いやられてしまうというふうに直感的に結びつけて不安に思っていらっしゃる方々が多い。マイナスの意味でのインパクトも知事の宣言は与えてしまったということを感じます。
きょう、私は、そういう皆さんの目線に立って、率直に知事に何点かお聞きをしたいというふうに思っております。
まず第一点ですけれども、どうして知事はあの宣言を、本県のしかるべき会合なり、しかるべき場においてされなかったのかと。あの宣言は宮城の施設を解体しますという宣言ですから、当然、県内の当事者、家族の方々に対して誠意を持って語られる性質のものであったはずだと。ある施設の施設長さんからは、県民不在の宣言だという怒りの声も寄せられております。
まず一点目は、なぜ本県の場であの宣言ではなくて、新聞報道によりますと、千五百人もの聴衆の方がいて、地域支援事業に大変熱心だったと。あるいは何人かの知事、あるいは首長がいたということを理由に挙げられている新聞記事を読みましたが、私は誠意を持って県内の皆様に語るべき性質のものでなかったのかなというふうに思いますので、まず冒頭、この点を伺いたいと思います。

〇浅野史郎知事 
庄子委員にお答えをいたします。
まず、施設解体宣言についてですね、関係の方に、直接というか、誠意を持って語るべきでないのかと。そのとおりだと思います。そのとおりであります。まさにそれは、そういうふうにしていかなければ、解体宣言をしました、それでどうですかと終わりではないわけです。ここから始まるわけですので、関係の方々が、今、不安があったり誤解があったりということがあるということ、今お話もございましたけれども、まさにそれでは進みませんので、これは私から直接という場面があればなおいいんですけれども、そういったことをしていかなければならないというのは、これは当然でありますし、そのつもりであります。
その発表の場ということがございました。まず、その前にタイミングでございますけれども、なぜ今なのかということでございます。それは、一昨年の十一月に、まず宮城県の福祉事業団が運営する船形コロニー解体宣言というのが出されました。これは四百八十名からの重い知的障害を持った方の施設でありますが、それを解体をすると。このときもいろいろ議論もありましたし、不安も生じましたし、今でもそれは続いている部分もございますけれども、しかし、そういう重い障害を持った人が入っている施設を解体すれば、それで済むんだろうかと、宮城県は。ほかの知的障害者施設はいいんだろうかということは、当然こたえなければならないというのが一つございますので、その時期から余り離れない時期に、ぜひそれは行政として方向性を出さなければならないというのが一つタイミングとしてあります。
それから、十六年度予算でございます。平成十六年度予算で知的障害者の地域生活への移行を進めるため、それを支援するための新しい施策を幾つか打ち出しております。ちょうどその時期でもありますので、これはこの時期にそういった行政としての方向性を明確に出すということが必要だろうというふうに思いました。
その場ですけれども、今お話しなったように、宮城の施設の話なんだから宮城でと。これはですね、確かにこういうことがあって当然出てくる思いだとは思いますけれども、今お話しいただいたように、これは二月の二十一日にアメニティーフォーラムという、この種のフォーラムとしては国内最大級のものでありますけれども、しかも障害者の地域生活支援に取り組む関係者が集まっているというようなフォーラムであります。これは全国的にも大きな関心が持たれているということで、その場を選ばさせていただきました。それによって、その反対に宮城の方々が何だという思いをされた。これは私もその意味では残念でございますが、今、冒頭に申し上げましたように、それは内容については、考え方についてはしっかりと御説明をし、御納得をいただくようなことをしていかなければならないというのは、これはどうであってもですね、ぜひ必要なことだと思っておりまして、これは私も、もしかかわっていければ、直接そういう場を持ちながら説明をしてまいって御理解を求めていきたいというふうに考えております。

〇庄子賢一委員 
当然、知事、今おっしゃったような、できれば知事の口から直接、意を尽くしていただきたいことは、障害者の皆さんに関することですから、誠意を尽くして尽くし過ぎということはないはずでありますので、ぜひその点は、私、お願いをしたいと思うんですけれども、あの宣言から二日後の二月二十三日に、宮城県知的障害者福祉協会に対して県からこういう文書が出されております。
 「さて、このたび当県では宮城知的障害者施設解体宣言を行いましたので、お知らせいたします」と。こういう一通のお知らせでお伝えするような性格のものでは、私はないんじゃないかなというふうに思うんですけれどもその後に「このたびの宣言は、今後の障害者福祉が目指すべき方向性を知事みずから県民の皆様にお示しして、御理解と御協力をお願いするものであります」。こうあるんですが、私は、まだ知事は県民の皆様には示してないんじゃないのかと。滋賀県のあのフォーラムでお話はされましたけれども、県民の皆様に理解を得るような御説明というのは、まだ公式にどの場でもなされていないというふうに私は理解をしております。
その上で、たしか四月の二十二か二十三か、知事がこの宮城県の知的障害者福祉協会の方とお会いになるという、たしかお約束をされていらっしゃると思います。これは宣言を発表される数日前に、県の方からこの協会に対して持ちかけられた話だと思うんですね。当事者の皆さんにしてみれば、どうしてあの場で宣言をするのを四月のこの日まで待ってくれなかったんだろうかと。直接、私たちに話しかけてくれなかったんだろうかという不満の声が多いということを重ねてお伝えをさせていただきたいと思うんですが、この四月の二十二でしょうか、二十三でしょうか、その辺まで待たずとも、もう少し早い時期に丁寧な御説明を、ぜひ知事みずから当事者の皆さんにしていただきたい。
宮城県には民間の施設も含めて千八百人の入所の方々がいらっしゃる。滋賀県のフォーラムには千五百人からの方がいらっしゃるというふうにおっしゃいましたが、宮城県には千八百人の方が、また、その後ろには、その何倍もの家族や関係者の方々がいらっしゃいますので、そういう皆さんの不安を解消するためにも、そうされることが知事の責任ではないかなと思いますが、この点についていかがでしょうか。

〇浅野史郎知事 
今申し上げましたように、関係者の方々に、これは全部、私がやるかどうかあれですが、できれば私が説明をしたいと思います。施設関係者のみならず、関係の方々にいろいろな場でお話をする機会はあろうと思いますし、いろはな手だてもあろうと思います。
四月二十二日という話はですね、これは実は宮城県知的障害者福祉協会の総会があって、そこの記念講演という場がありますので、それで私がお話をさせていただきたいということです。ですから、それ以前には説明をしませんということではなくて、そういう機会が、ある意味ではたまたまありますので、その機会にも私からは説明をさせていただきたい。
その前にも、もちろんいろんな形で御説明をするという機会はあろうと思います。それまで何もしないというつもりはございませんし、また、これは保健福祉部からも常に接触を持っているところでございますので、そこからも、既にこれはもちろんある程度の説明もしておりますが、引き続きやらせていただきたいということでございます。

〇庄子賢一委員 
ぜひお願いをしたいと思います。
ところで、先ほど知事もおっしゃっておられた平成十六年度当初予算案の中で、この解体宣言をより具体化する、スムーズに地域移行を図るという意味で、地域移行の事業費が計上されております。知的障害者地域生活移行推進事業千六百五十万円、グループホーム整備促進事業二千百十万円、地域療育等支援事業一億二千八十万円等々、計約二億円の予算計上となっております。今後、船形コロニーだけでも三百数十人、また、民間の施設を入れれば千八百人の皆さんが地域へ移行するということになれば、かなりの予算措置、かなりの規模の事業になるというふうに思います。当然、今、既存のグループホームや施設の整備改修ということがこれは必要になりますし、新しい施設の整備は、これはかなり急いだペースで進めていかなくてはならないと思います。
また、日中活動の場として作業所や、あるいはデイサービスセンターのようなものの整備も、これも必要でしょうし、また、軽度の障害の方々にとっては、地域に帰ったときの、今度は地域での就労の場の開拓ということもあると思います。それをなしに地域移行の意味がありませんので、そういった複合的な事業を今後展開をしていかなくてはならないと思うんですけれども、具体的に今後、県内の施設解体、退所が進んで地域移行が進んでいったことを想定して、事業全体の規模、そして、その財源の確保についてはどのようなめどを立てていらっしゃるか伺いたいと思います。

〇加藤秀郎保健福祉部長 
お答えいたします。
重度の知的障害者の地域生活移行につきましては、現在、船形コロニーの実践が先行しているわけですが、民間施設からの移行も今後本格化するものと考えております。
地域生活移行の支援事業の規模の推計を行うためには、現在、入所施設に入所している方々お一人お一人につきまして、その地域移行する場合、どのような支援が必要か。すなわち、地域生活移行に向けましたケアプランを作成することが必要となります。民間施設の取り組みにつきましては緒についたばかりでございますので、現段階では支援事業の規模の推計は大変難しいと思っております。
今後、民間施設の理解、協力を得ながら、地域生活移行に向けた取り組みを進める中で支援事業の充実を図りますとともに、必要な財源についても確保してまいりたいと考えております。

〇庄子賢一委員 
市町村でも、このいわゆる財源をどうするかということはですね、補助率の問題もあって、市町村四分の一の負担ということにもなりますので、早期にぜひケアプラン、一人一人の支援形態に見合ったものをまとめていただく、そのことを急いで策定をお願いをしたいと思うんですけれども、問題だなと思っていますのは、やはり重度、あるいは超重度と呼ばれる重い障害を持った皆さんの地域移行ということについて、かなりの不安があろうかと思います。これまで十年、二十年、あるいはもっと長い間、措置の時代はそれしか選ぶ道がなかったわけですから、施設に入っていらっしゃった方々、重い障害の方々が地域へ移行していくということについては、大変たくさんの不安があります。推計によれば、千八百人の施設入所の方の実に七六%、千四百人近い方が重度の障害、あるいは超重度の障害。重度・高度障害のような長期障害を持っていらっしゃる方々が七六%いるというふうに伺っているんですね。
そもそもグループホームの概念としては、どちらかというと自立、自活可能な方が、それまでは、例えば通勤寮に入っていたような皆さんの受け皿としてグループホームというのは設置をされてきた経緯がありますので、どうしても重度障害の方々がそのグループホームに移行するというイメージがわかないというのが率直な不安の御意見でございました。ある意味で、二十四時間介護が必要な方々がいらっしゃいますので、そういった方々が、例えば経験や体験を通じて生活習慣を習得され、生活技能を習得され改善をされるというふうには、正直、安易に考えられない方々も多いというふうに思います。
 ある施設の方に言われたんですけれども、本当の意味での地域移行というのは、単に地域で寝泊まりをするというお泊まりごっこではないんですよという話をされまして、重度の障害の方の地域移行というのは安易な問題ではないというか、大変に難しい問題だなということを私も改めて勉強をさせられましたが、重度の障害の方々、重い障害を持った皆さんがグループホームに移行していく、その具体的な支援形態。それから、部長が今おっしゃった、一人一人の障害の度合いに合わせた支援の適切なプログラム、こういったものを県としてきちんとメニューを提示する、策定をする責任があろうかと思いますが、この辺についての御意見を伺いたいと思います。

〇加藤秀郎保健福祉部長 
重度の知的障害者でも利用できるグループホーム、そして、その体系をきちっと示すべきじゃないかというお話でございますが、先ほど知事からも一部触れましたが、県では平成十六年度の当初予算案におきまして、具体的には、一つは、重度知的障害者が入居するグループホームにおいて世話人を加配する重介護型のグループホーム支援事業、これを行います。また、二つには、看護師が医療的ケアを必要とする障害者が入居するグループホームを巡回するなどしてバックアップを行います医療的ケア対応型グループホーム支援モデル事業。それから三つ目には、知的障害者グループホーム整備の際の改修、備品購入に要する経費を助成する知的障害者グループホーム整備促進事業、これらを新たな支援策として予算に計上させていただいておるわけですが、これに加え、また、日常活動の場の整備、それから相談機能、これについてもですね、今回かなり拡充する施策を出させていただいております。
 これは、支援等により重度の方にも安心して地域生活に移行していただけるようなものになるのではないかと考えておりますが、お話ありましたように超重度の方もおられます。そういうことにつきましては、これからも更なるどういう支援策が必要なのか、あわせて検討していくべきものだと、このように考えております。

〇庄子賢一委員 
ちょっと質問の順番を変えて七番目の質問を先にさせていただきますが、いわゆる施設の、どう言うんでしょうか、役割分担の上での必要度ということについて先にお伺いをしたいと思うんですけれども、重度の方々が地域移行をされていく上で地域での生活に困難が生じると。立ち行かなくなってしまうというケースも、これは当然想定ができるというふうに思うんですけれども、そういった皆さんのセーフティーネットといいますか、バックアップ的な意味合いから、施設というものはむしろ必要度があるという御指摘があります。
 これは多分、知事も御存じだと思うんですが、国立コロニーの独立行政法人化検討委員会の座長をされている川崎医療福祉大学の岡田喜篤先生という方が、この行政法人の委員会の報告書の中で、施設の必要度についてこのようにおっしゃっています。「一たん地域に移行した後のケースであっても、地域での生活を継続することに困難が生じる可能性は否定できない。このような場合にあっては、施設への再入所といった対応も含め、地域への移行後の生活について関係機関との連携を十分に確保しながら、セーフティーネットとしての機能を果たすことは極めて重要である」という意味合いの発言をされています。今回の知事の宣言の中からそのことを具体的に酌み取ることはちょっと今の段階ではできていないんですけれども、この点について、施設の役割分担としてのセーフティーネットとしての必要性について知事のお考えを伺いたいと思います。

〇浅野史郎知事 
ただいま委員が引用された「両親の集い」というのは、私、その原文で読んでおります。岡田喜篤先生も十何年来の友人で、一緒にやってきた仲間でありますから、その内容は十分に了解をしております。
まさに今回ですね、知的障害者施設解体宣言といいますけれども、もちろんそれは入所施設であって、更に、それが知的障害者にとって生涯の住所を移してきている住まいとしてですね、確定をしているというもの。コロニーというのは、特にそういう面においてですね、三十年前においては必要だったわけですけれども、今はどうかということが問われています。
 今お話しなったのが、いろいろな機能があるでしょうということです。バックアップ施設であったり、失敗したときの戻ってくる場だったり、それから、今御指摘ありませんでしたけれども、入所という形をとりながら、訓練という形でですね、通過をしていく。だから、それは住所といっても、短い間の住所ですねーーとして通過をしていくような施設。これはまさに、住まいというよりは、そこでの訓練機能とかですね、それから少し休む機能とか、そういったものを前面に出した施設、これは必要だろうと思います。
それまで全部否定してしまうということは、いろんな対応の障害者を考えていけばですね、一律に全部要らないというものではないと思います。施設のありようとして、今あるような形の、終生そこで人生を終わるんですよというようなことを、むしろ前提としているような施設。これは本人にとってもどうか。それはやっぱり解体という方向を目指すべきだろうというのが今回の趣旨です。
ですから、おっしゃったような、入所施設の持つさまざまな機能の中で今後とも必要とされるというものは、やはり吟味をしてというか、十分必要性を考えてですね、それについてはやはり持っていくということをもって、安心感ということもありましょうし、それから、むしろ地域生活に出ていけるようなことをバックアップする部分の機能として特化した施設、こういったものというのは今後とも必要になっていくだろうと、そんなふうには考えています。

〇庄子賢一委員 
今の知事の御説明を伺って、私も含めて関係者の皆さんも御安心をいただけたのではないかなというふうに思いますが、なお、ぜひ今のお言葉どおりにですね、施設の意味合い、薄めることのないようにぜひ対応方をお願いをしたいと思うんですけれども、現実、今、船形コロニーの解体が既に進んでおります。退所者の方々も数十人出ておられますが、皆さんがすべからく地域へ戻るというか、グループホームへ行っておられるわけではなくて、中には他の民間施設にいわゆる移動するという方々がいらっしゃいます。そういった皆さんが今後グループホームに移るということが決まった上で、通過点として民間の施設を利用されているケースもあろうかとは思うんですが、今後コロニーから三百数十人の方が地域移行する中にあって、民間の施設に結局は滞留をしてしまうと。コロニーだけが解体を進めて、地域の入所施設についてはむしろ逆に入所者がふえてくるというようなことは本当にないのか。コロニーだけの解体で終わって、地域施設がそのようにならないということがないのかどうか。これについて御意見を伺いたいと思います。

〇加藤秀郎保健福祉部長 
船形コロニーからの地域生活移行でございますが、これにつきましては、できるだけ出身地に近い地域での生活を基本に考えております。こうしたことから、民間法人の協力を得ながら現在行っております。
この場合、民間法人の職員との間に信頼関係を構築する必要があるということもありまして、グループホームが内定している方々を含め、一たん、あくまでも一たんですね、民間施設を経由するということがございます。
 具体的に申しますと、これまで船形コロニーから民間施設へ移った方、これは十五名おりまして、グループホームへの移行することが内定しておりまして、近く移る方がこのうち十名。また、グループホームへ移行することはまだ内定しておりませんけれども、近い将来、移る方が五名となっております。
このように船形コロニー入所者の民間施設への移動につきましては、将来のグループホームへの移行を目指して行われているものでございまして、民間施設入所者がふえ続けることにはならないと、このように考えております。

〇庄子賢一委員 
なぜそのことをお伺いしたかと申しますと、実は最後にお伺いをしようと思っていたんですが、最近、ある町内会長さんから私のところに相談が寄せられておりまして、それはどういう相談かといいますと、その会長さんの地域にグループホームができるということになったそうです。地域住民の方々がそのことを知って反対運動を起こされていると。その反対運動の反対の理由は、これは正直、残念なんですが、障害者の方々に対する偏見や差別にかなり根づいた御意見だなと正直思うんですが、知事もたしかきのうの予特のお答えの中で、何かけものを野に放つというようなことを聞かされて大変ショックを受けたというようなお答えございましたが、残念ながら、地域社会の一つの声として現実そういう声があるということだと思うんですね。そういう、いわゆる知事の言葉をかりれば、荒れた海に障害者の方々を放っていくようなことになってしまっては、闇から闇へですね、障害者の方々が送られるということになりかねないというふうに思います。
そういう意味で、民間の施設に滞留者がたまるというようなことはないんですかということを伺ったわけなんですけれども、その意味で、私は、知事の宣言というのは、障害を持った方、その御家族のみならず、むしろ本当は県民全般が広く理解をしなければならない宣言だったろうというふうに思うんです。地域の福祉力を高めていかなければ、地域の一員として障害者の方々を迎える地域になっていかなければですね、知事がおっしゃる解体宣言といっても、それは遅々として進まないというか、むしろ地域に入ったことで不幸な結果になるケースだってあるはずなんですね。
そういうことを、どのように知事はこれからですね、責任をとって地域での福祉力を高めていくのか。荒れた海に放つようなことがないというように言い切れる、そういったものにしてくださるのか、そのことをまず先に伺いたいと思います。

〇浅野史郎知事 
今、委員がおっしゃった、残念ながらですね、地域での無理解というのがある。私もちょっとショックを受けたのは、こういう意見が、「障害者に電車内でいちゃもんをつけられた経験があるのであえて言いますが、自分を抑えられない人間は野獣と一緒です。彼らを閉じ込めておくおりは必要だと思う」というような、これに似たような意見がですね、実はこれに関しての視聴者からのラジオの番組で意見を受け取ったときの中に幾つかあって、私もショックを受けました。そういう意味では地域という荒れた海というか、ジャングルにはオオカミもいたり、また逆にオオカミと思われていたりという、そういった部分があるのは残念です。
そのときに一つ議論になるのは、卵が先かニワトリが先かみたいな部分があって、地域というのをそういうふうな理解が得られるような、みんなあったかく迎えられるようになって、そういうふうにしておいてから受け入れたらちゃんと受け入れられるじゃないかという議論もあります。つまり、そうでないところにですね、グループホームだ、障害者の自立だと言って行ったのでは、むしろ本人もかわいそうだし、地域にも混乱が起きる。だから、そういうのをやめた方がいいと。まず地域を変えるのが先だという議論もあります。
ただ、私は、そうはいかないんだろうと思います。それはやっぱり、知的障害を持っている人にとっても人生は限界があるというか、もちろん有限なわけですよね。待てないです。ということなので、私はそれは、同時にということだと思います。つまり、そういう経験を持ちながら、地域の方にもそれを通してわかってもらうということも必要だろうというふうに思っています。
 それが一つと、それから、きのうもちょっと申し上げました統合教育の問題というのがありますけれども、やはり我々、宮城県民としてですね、子供のときからそういうようないろんな形の障害を持っている人と同じクラスルームで学ぶというような、同じ地域で一緒に遊んだりするということを通じて、そういった理解、受け入れの態勢というのはできていくんだろうと。これもやや息の長いことですけれども、やっていかなければならないというふうに思っております。
今、委員御指摘ありましたように、地域もそういうふうにちゃんとしていかなければ、むしろ本人にとっても幸せな状況にならないというのはまさにそのとおりでありまして、その意味ではですね、今回の動き、知的障害者を地域生活に移行させていくというのは、ある意味では世直しということも含んでやっていかなければならないと、そういうようなことだと思います。
その意味では、これは単なる狭い意味での関係者だけではなくて、地域全体、宮城県全体、日本全体のありようの問題ということにも関係してくるだろうと思っています。そういう意味での努力というのも、両方とも必要だというふうに認識をしております。

〇庄子賢一委員 
この項目の最後に、これは質問というよりは、知事が先ほど原文をお読みになったとおっしゃる「両親の集い」の中の家族の方の言葉を引用させていただいてこの項目を終わりたいと思うんですが、「施設では、自立させると言って、それまで大勢の人たちと過ごしていたのを、だれもいない空部屋で一人一人、別々に生活させられたのだそうです。そうしたら、お小水は漏らすし、精神的に追い詰められて御飯も食べられなくなったというんです。それが脱施設だとかグループホームと言われるんじゃ余りにも悲しい」。こういうケースもあるということを、これは保健福祉部の方でも十分に承知をしていただいているとは思いますが、ぜひ、そういった方々に本当に安心と安らぎを与えられるような地域移行事業を組み立てていただきたいと思います。
この項目を終わりたいと思うんですが、大綱第二点ですけれども、観光施策についてお伺いをいたします。
二〇〇一年の九・一一の米国での同時多発テロ以降、各国がこの観光産業に大きな打撃を受けたということは、過去の歴史でございました、スイスやベルギーの航空会社が倒産をしたりですね、アメリカの航空会社が大量のリストラに追い込まれる。あるいは日本でも海外向けの観光客が大幅に減少して、例えば沖縄県なんかでは、米軍基地があるという理由で修学旅行の二十万人のキャンセルがあったりということで、大変に世界的な観光産業はダメージを受けまして、改めてあの九・一一を通じて、図らずもこの観光というのは、今はもう国際観光という位置づけで、世界規模でつながっているんだということを認識をさせられた事件でもございました。
今、日本では長期経済の低迷の影響を受けて、大変この観光産業というのは観光先進国に比べておくれをとっているという指摘が多くございます。国際経営開発研究所というところが出しております国際競争力年次報告書によりますと、日本のランクは九三年までは四十九カ国中トップだったんですが、二〇〇二年版では三十位にまで低迷をしているということで、この国際観光という位置づけから見ても日本の競争力は大変に低下をしていると。
以前は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本が海外で出版されたりとか、あるいはアジアの諸国が日本の経済成長に学べというんで、ルック・イーストという政策を提唱したり、また、強い日本をたたくという意味でジャパン・バッシングという言葉があったですね。今、これは完全に死語になりましたけれども、日本はある意味で世界じゅうの目標とされている位置づけにあった時期があったんですが、現在では海外に出かけていく観光客の方が多いんですが、逆に日本に迎え入れる海外の観光客の方々は少ないという観光赤字大国になってしまっております。
そこで、本県の観光施策に目を移していきたいんですけれども、平成十年に宮城県観光立県行動計画というものを策定をされまして、今、幾つかのプロジェクトが推進をされているかと思うんですが、しかし残念ながら、平成五年の本県の観光入り込み数が四千六百二十二万人、平成十四年が四千六百四十五万人ということで、ほぼこの間、横ばい状態だというふうに言えると思います。
県としては、今、「ウェルカム五千万人」ということで緊急経済産業再生戦略の中にも幾つかの観光施策を盛り込んでおられますが、このプロジェクトでどういう地域から何人の観光客を県内に入れ込みをするのかという具体的な戦略をお示しいただきたいと思います。

〇遠藤正明産業経済部長 
ただいま議員がお話しになりました目標数値でございますけれども、これは観光立県行動計画の翌年につくった平成十一年度の宮城県総合計画で設定をした数字でございます。
それで、この総合計画の目標値につきましてはですね、航空路線の開設でありますとか、交通ネットワークの整備状況などによって大幅に環境が変動するということを考えまして、エリアごとの目標数値は設定しておりません。
それで、どういう戦略で、どのエリアからということでございますけれども、県外からの入り込み、全体三六%、東北五県から一七%、関東圏九%、そういった状況になっております。
主力になるのは、やはり首都圏とか山形県を初めとした隣接県であろうというふうに考えております。また、関西以西、これは今まで誘客キャンペーンなどで非常に手薄だったということがございますので、これは気候風土、文化も、かなり相違がございますので、そういった点を強調して、本県の魅力を積極的にPRして誘客に努めていきたいと考えております。

〇庄子賢一委員 
プロジェクト、戦略という以上は、本当はこの地域にこういう商品を売って、そこから何人引っ張ろうというのは、例えば民間の旅行代理店にしても、普通の発想だというふうに思うんですね。
今までは、やはりキャッチフレーズをつくって、ポスターつくって、映像にして、それでいろんなところでキャンペーンやって、どうぞ県に来てくださいというようなワンパターンの観光政策が多かったんじゃないかと思うんですが、それでは本当に五千万人を、また、平成二十二年ですか、五千五百万人という目標を立てておられるようですが、それをですね、実現することは極めて難しいなというふうに、今の部長のお答えを聞いていても、私は思いました。
そこで、実際にこの「ウェルカム五千万人」が実現できた際の消費総額、それから雇用の創出効果ということについて具体的な数字をぜひお聞かせをいただきたいんですが、平成十三年の実績で言いますと、四千五百七十五万人の入り込みで、総消費額が三千九百八十億、就業創出効果が実に七万二千人強という大きな成果、効果が上がっていることは、もう既にデータとして出ております。五千万人の場合の具体的な数値をお聞かせいただきたいと思います。

〇遠藤正明産業経済部長 
平成十七年で五千万人の目標を達成された場合ですが、これは産業連関表を用いて推計しております。消費総額四千二百七十億円ぐらい。それに伴う就業創出効果、八万一千六百人ぐらいというふうに試算をしてございます。これは平成十五年の観光白書のデータと比較をいたしますと、消費総額で約二百九十億、就業創出効果でおおむね九千四百人、こういった増が見込まれるというふうに試算をしてございます。

〇庄子賢一委員 
大変希望の持てる数値をお聞かせいただきましたが、どうも観光産業自体の位置づけとして、産業全体の中で低いランクになっているような気がします。それは十六年度の当初予算案を見ても、本当に今、部長がおっしゃったような四千二百七十億の効果、そして八万一千人強の就業効果を生み出そうという、意欲あふれる産業再生戦略の中での観光施策とはどうも思えない予算組みです。
具体的には、奥羽山麓の温泉化推進事業、これが五百万。アジア仟客萬来事業、一千万。そして、「天花」のふるさとーーこれはテレビ番組の力をかりた、NHKのふんどしで相撲をとるようなところがありますが、これが七百万ということで、合計わずか二千二百万円の予算措置で、本当に今おっしゃるような五千万人を呼び込んで、これだけの効果を生み出すという決意がこの予算の中に込められているとは、私はちょっと思えないんですね。観光自体、ちょっと軽く考えていらっしゃるような気がします。お金があったら、景気がよくなってお金が余ったら観光にお金を回しましょうというのではなくて、リーディング産業ですから今は、むしろ観光産業が他の産業を牽引するという時代になっているという、その意識変革を県庁内でも強く変えていく必要があるというふうに思うんですね。
鳥取県のデータを申し上げますけれども、平成十六年度の当初予算では、東アジア地方政府観光フォーラムということで四千五百万円。そして外国人観光客誘致対策事業三千二百万円。それから環日本海観光交流促進事業で九百万円。鳥取県の一般会計はたしか四千百億程度ですが、これだけ観光ということに力を入れていらっしゃいますし、三重県でも、観光みえの魅力増進プログラムということで四億八千七百万、三カ年の総予定事業では十五億七千六百万を組んで観光施策に取り組もうということを検討をされています。
観光産業がもたらす効果をわかっていればこそ、むしろ、お金のやりくりは大変だったとは思うんですけれども、観光を使った産業の育成を積極的に取り組んでいらっしゃるということをぜひ御理解をいただきたいと思うんですが、中でも特に取り上げたいのは、アジアの仟客萬来事業というのが一千万円の予算計上でございます。アジアというのは、大変今魅力的なマーケットになっております。中国を筆頭に、大変今経済が活性化をして急成長を遂げていますから、今アジアの各国で新しい中産階層、いわゆる豊かな大衆層というのが急速なスピードでふえつつあると言われておりまして、世界の国際観光は、実はアジアに今ターゲットを絞って、ここにマーケットを仕掛けているということがあります。本県のこのアジア仟客萬来事業における具体的な数値目標。そして当然、海外からお客さんを迎え入れるには、本県単独の戦略だけでは足りないわけですよね。当然、広域的に近くの自治体と手を組んで魅力を高めていく努力が必要だと思うんですが、この辺の具体的な戦略をお示しいただきたいと思います。

〇遠藤正明産業経済部長 
まず初めに、本県の戦略事業の観光関連のプロジェクトと予算をお話しされて、大変額が少ないということでございますけれども、観光を支えるさまざまな産業とか地域基盤の整備は、このプロジェクト以外の事業費も確保して対応しているところであります。
ただ、確かに、鳥取とか三重とかお話しされましたが、それよりまさる観光支援が本県にはあると自負をしているところでありますが、その活用方策につきましては、もっと誘客キャンペーンでありますとか、お客さんのホスピタリティーの面でございますとか、予算を確保して事業をきちんと行っていくことが重要であると、今決意を新たにしておりまして、観光立県行動計画なども、現在の状況を踏まえて、今後、見直しをして的確に対応していきたいというふうに考えております。
アジアからの誘客の仟客萬来事業の関係でございますが、現在、国でビジット・ジャパン・キャンペーンというのをやっておりまして、二〇一〇年、平成二十二年目途に、訪日外国人の旅行者数を一千万人を達成すると。そういう目標で事業活動をやっております。そのためには大体、年平均九%程度の増加を確保する必要があるということでございます。
本県では、さまざまな航空路の整備、また今後、五月には香港とのチャーター便、また、中国、アジアへのアクセスの充実、このようにどんどん進展しております。また、中国におけるビザ発給地域の拡大、これを政府要望をしておりまして、中国からの誘客も増強したいというふうに考えて運動しております。
 それから、広域的な取り組みでございますけれども、東北六県と北海道でですね、上海、台北への観光プロモーションオフィスの設置とか、「東北フェアin上海」、これの観光プロモーションを共同でやっております。この取り組みも今後、強化しつつ、継続してまいります。
また、更に、共同ということで取り組みながら、その中でも、特に本県は、本県独自のものを売り込んで本県への誘客も増強していきたいと、こういうふうに考えております。

〇庄子賢一委員
決意発表、ありがとうございます。ぜひ、その決意を忘れずにお願いをしたいと思います。
社会基盤整備というのはどこの県でもやっています。宮城県だけではなくてですね。空港整備、アクセス鉄道の整備、それはどこでもやっていることであって、それをどうやって、観光という商品に価値を高めていくかという努力にお金をかけているという話をしたわけで、この点については、決意で終わらずに、ぜひ具体的にお願いをしたいと思うんです。
知事、実は行政視察に何回か行く機会があって、他の市町村や県の皆さんから行くたんびに言われるのは、宮城県といえば浅野知事のお名前が必ずと言っていいほど出てまいります。改革派知事ということでお褒めをいただきます。その点については、大変、私も県外に出ていってうれしい思いもするんですが、しかし宮城県がどこにあるかということについては、ほとんど地図で指をさせる人は少ないですし、中には東北地方に宮城県があるということを知らないで浅野知事のことをおっしゃっている方も中にはおられるんですね。観光というのは単に観光資源を売るということだけではなくて、例えば画家になりたい人はパリへ行こうとか、音楽を目指す人はウィーンに行こうとかですね。あるいは、ITをやりたいという方は、シリコンバレーへ行ったり有名な研究機関に行ったり、歴史が好きな人は古都へ行ってそこで学んだりという、地域にあるその価値なり、地域の魅力というものが観光にダイレクトにつながっているはずなんですね。
そういう意味では、観光資源の整備ということだけでなくて、本県をどう価値を高め、魅力あるものにして、それを世界へ発信していくかというのは、知事のリーダーシップでぜひ進めていっていただきたいというふうに思うんですが、この点について意見を伺いたいと思います。

〇浅野史郎知事 
なかなか難しい課題ですが、私も決意表明をさせていただきますが、宮城県、いろいろな意味では資源はあるわけですね。観光資源もありますし、それから、意外と観光というとき忘れられがちですが、仙台という中核都市があるというのも、実は観光の魅力になっているわけです。仙台という大都市がありながら自然が豊か、食材も豊かというのがポイントになっていると思っています。これをどう売り込んでいくかというのは非常に大事なポイントで、これはもう少し知恵を出していかなければならないと思いますが、委員にもお知恵をかりながら、せっかくのあるこういった観光資源を大いに生かしていく方策を一生懸命考えていきたいと思います。

〇庄子賢一委員 
時間がありませんので、質問というよりは意見を述べて終わりたいと思います。
知事も、また部長におかれても、観光産業の本県における位置づけ、これをぜひ。景気が回復し、お金が出たらお金をそっちへ回そうというのでは観光産業はいつまでたっても成長しない。むしろ、リーディング産業として観光産業を位置づけていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。